2018.03.27 05:56

 哲学という学問がありますね。乱暴に表現すれば、人間がどう生きるかを考える学問といっていいでしょう。どう生きたらベストなのか。人間とは何か。
 もちろん簡単には答は出ないでしょう。将棋に「最善手」というものがあります。その局面でどの手を指したらいちばんよいのか。終盤ではこの手がベストであるというのがはっきり出てきます。ただ序盤はなかなか「ベスト」な手が固定化できない。どう指してもそのあとの状況で挽回がきく側面があります。よほどめちゃくちゃをやらない限りは。
 
 人間の名人が人工知能に負けてしまいましたが、そのときも人工知能の指した初手は昔から人間がベストであるとしてきた手ではありませんでした。将棋を真剣に修業している若者が1手目にそんな手を指したら、昔なら破門ものでしょう。初手は飛車先を突くか角道を開けるか2通りしか認められていませんでしたから。
 人間がどう生きるかというのはその序盤に似ている部分があります。とくにお若い方の場合ですね。よほどのめちゃくちゃをしなければどうにでも挽回がききます。
 
 たとえばA中学高校に入りたかったのがB中学高校になってしまったとか、Cという会社に入るつもりがDという会社になってしまったとかですね。あなたがここからよりよく生きようという意志を強く持っていらっしゃるのであれば、その程度の違いはどうにでも挽回できます。挽回という言葉を使用すること自体が不自然なぐらいよい人生を歩むことが可能です。これは断言してしまっていいぐらいで、何か問題が起きるとすれば、ご当人がそこから頑張らなかったというだけなのですよ。
 
 先日、昔教えていた生徒が挨拶にいらしてくださった。それなりによくできる生徒でしたが、トップというわけではありません。Z会進学教室自体レベルが高いですから、偏差値が50を下回るときもありました。必ずしも第一志望校ではないところに進学された。
 その彼女が獣医さんになる大学に合格しましたとうれしそうに報告にいらしてくださった。獣医さんになるのは大変ですよ。相当勉強ができないと無理です。彼女はどんなに難しくてもとにかく「獣医さんとして生きる」と決めていた。小学生のときからです。
 
 どう生きるかという一見答のない問題に、とりあえず職種で夢を持つのはなかなか上手な処世術だという気はします。その夢があったので、彼女は第一志望の高校ではなくても頑張れた。「高校はどうだった?」と質問すると「すごくいい高校でした」という答が返ってきました。第一志望じゃないなどと腐らずに、すごくいい高校生活にしたのは獣医さんになる夢を持っていた彼女自身ですが、とくに私は何も告げませんでした。
 どう生きるか、考えてみてください。どこの中学高校大学でも「なりたい自分」になれる道は見つかるはずです。やるべきことは、とりあえずそれだけで十分です。あなたがどう生きたいかということだけです。
 
 
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この記事へのコメント

  • 1, 変わった男さん 2018.03.27 16:17
    長野先生

     いつであったか覚えていないのですが、塾を卒業してかなり経ってからなことは確かです。先生にお会いした際に
    「君みたいなのが人生うまくいっちゃったら面白くないじゃないか」
    と言われたことをよく覚えています。その時は「おいおい!」と思って思わず笑ってしまったのですが、不思議なことにその言葉は私の人生を大きく助けました。
     これを読まれた方はこの言葉をあまり良い意味にとられないかもしれません。
     信頼?関係ですかね。
     
     生きていると面白いことがありますね。つまりそういうことです。

        変わった男
  • 2, 長野先生さん 2018.03.27 22:14
    変わった男さま

     こんばんは。
     それは深いセリフだな。「君」のところに「私」を持ってきても同じだよ。うまくいっちゃったら面白くない。世の中、うまくいっちゃった人がいろいろトラブルを起こしているじゃないか。私は外側だから。はじめからレースには参加していないんだ。

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