2016.04.27 00:21

 最近、いろいろなことに気づく。そういう歳になったのでしょう。
 いちばん好きな洋画は「世にも怪奇な物語」第3部テレンス・スタンプ主演の「悪魔の首飾り」か、ロバート・デ・ニーロ主演の「タクシー・ドライバー」か、クリストファー・ウォーケン主演の「キング・オブ・ニューヨーク」のどれかだろうと思います。少し下がってジョン・ヴォイト主演の「真夜中のカーボーイ」かな。「プレデター」や「遊星からの物体X」みたいなのも好きですが、それは全然別の意味です。
 
 「タクシー・ドライバー」の最後のシーン。ものすごく印象的なのですが、どう考えたらいいのかわからない。背景の説明をせずにいきなり本題に入ってしまいますが、ベッツイという女性はどれぐらいの気持ちでトラヴィスの車に乗ったのか。トラヴィスはトラヴィスでああいう態度をとってはいるものの、どの程度が強がりでどの程度がもういいやという気持ちなのか。半々ではないような気がします。あえて表現すれば自己陶酔のようなものが強く、あとで後悔したのではないか。
 
 ただあそこでトラヴィスが再びデートに誘っても、彼女は快く応じなかったようにも思えるのです。あらすじそのものがそうなっていないので、私の勝手な想像にすぎませんが。
 つまり謎が謎として残り続ける。説明され尽くされていない。バックミラーをじっと見つめるトラヴィスの冷めた視線の意味も、本当に冷めていたのではなく相手の気持ちを見極めようとした何かではないかとも感じます。要するに、全然ではないでしょうが私は大切なところがわからずもやもやする。
 
 しかし、それこそが名作の所以なのだなと考えるようになってきました。どこまでいっても結論が出ない。時と場合とこちらの成長によって解釈が微妙に変わってくる。「キング・オブ・ニューヨーク」の惜しいところは、主人公の確実な死が最後はわかってしまうところでした。
 ヘルマン・ヘッセの「デミアン」という小説があります。私は長いこと最後のシーンが死を意味するとは考えていませんでした。そういう解釈が当然であると知ったときには心底びっくりしました。
 
 表現の崇高さはそうした部分に潜んでいるということがわかってきた。鑑賞者が参加できる要素ですね。このことにとことん気づけたのは今後の生き方が変わってくるほどの衝撃なのですが、それは大騒ぎしないでおきます。
 謎を残していきますよ。これから。
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この記事へのコメント

  • 1, 前向きな考え方に変われる結末をさん 2016.04.28 05:53
    謎が残るような名作に惹かれる人は多いと思います。好みは人それぞれですが、個人的には、読者を絶望に追い込んでしまったまま終わる、というものは好きではありません。切なく胸を引き裂かれるようなストーリーであっても、最後は読者が救われるような結末であってほしいと思います。出会ってよかったと思えるかどうか・・・たいせつなことだと思います。
  • 2, 長野先生さん 2016.04.28 09:51
    前向きな考え方に変われる結末をさま

     こんにちは。
     そうですね。一見絶望的なようであっても、救いが残されているもののほうが私もいいと思います。要するに生きていく「糧」になるものですね。表現する喜びはそういう部分にあるのではないでしょうか。
  • 3, 前向きな考え方に変われる結末をさん 2016.04.28 21:03
    生きる糧を与えるものにするかどうかは、表現者次第ですよね。
    うっかり絶望的な展開にしてしまった場合でも、どう明るい結末に方向転換していけるか。表現者の人間性は、とても重要な部分だと思います。
    たとえそれが、たった一人の読者のためのような、目立たない読み物であるような場合であっても、です。
  • 4, 長野先生さん 2016.04.29 00:48
    前向きな考え方に変われる結末をさま

     こんばんは。
     表現者の人間性が大切だとおっしゃるのはその通りだと思います。同じ「愛が大切です」という言葉でもどなたに言われるかで、全然違ってきますものね。
  • 5, 前向きな考え方に変われる結末をさん 2016.04.29 03:23
    「言われる人によって、全然違ってくる」という発想が、私には不足してたようです。
    「愛が大切です」と言われて単純に喜び、うれしいから表現者の人間性まで肯定してしまう、自分のくせ?のような部分に気づきました。
  • 6, 長野先生さん 2016.04.29 04:37
    前向きな考え方に変われる結末をさま

     こんばんは。
     うん、まあそういうことはありますね。言葉は装うことができますからね。こわい要素はあるのかもしれません。

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