2015.07.18 07:54

 現代の日本人(国内に住む方という意味です)は少しまえに比べて、確実に進化しているのだろうか? ということをよく考えます。便利にはなった。便利にはなっていろいろなことができるようになった。個々の力はどうでしょう。個々人として、たとえば30年前の同世代より確実に進化しているのでしょうか。
 私は学生時代だいたい35個ぐらいの電話番号をそらんじていました。これは紙に書いて確認したことがあるので確かです。ほとんどが友人の家の番号でしたが、そんなにたくさん覚えていました。ところがいまはその半分も暗記していません。機械が代わりにしてくれるからです。
 
 実際、自宅の番号さえうろ覚えの生徒がいます。あれ、何だっけ? と言う。入会テストのときーーこちらから合否を連絡しますからーー願書に書いていただかないといけないのです。すると覚えていない。携帯を取り出して「あ、そうか」と確認する。間違えた番号が記入されていたこともあります。慌てていただけかもしれませんが、私が中学生のころ自宅の電話番号がはっきりしない同級生は皆無でした。
 これは善悪の問題ではありません。どれぐらい頭を使っているか検証したいだけですから、中学生の皆さんは誤解なさらないでください。
 
 住所でさえ私はいくつも覚えていました。好きな女の子の住所なんかは暗記していた。手紙を書くからです。メールではなく手紙を書いた。
 好きな子に手紙を書くのに誤字だらけというわけにはいきません。そこで頻繁に辞書をひいて調べました。「鬱」という文字は女の子に手紙を書いているうちに覚えた字です。まだ16歳でした。変換なんかできませんから1画1画確実に暗記していきました。それでもたまに「依然として」を「以前として」などと書いてしまって頭を抱えました。2度と間違えないようにしようと思いました。
 
 やたらと暗算の速い友人というのが何人かいて、皆さんそろばんを習っていました。私はそろばんはやっていなかった(小学校で習った程度です)ので、文章題みたいなのでは勝てても計算では彼らにどうしてもおくれをとります。指先を動かしてあっという間に四則計算の正答を出してしまったりするのを見ていると、本当に人間計算機か! と思いましたよ。現在、そういう生徒はほとんどいません。電卓がどれほど早く打てても、暗算能力はそろばん並みとはいかないですね。
 
 10年ぐらい昔はまだまだ電車やバスの中で勉強している中学高校生というのも多かった。私はこういう仕事をずっと続けていますから、どうしても目がいってしまう。何を勉強しているのか気にするクセがついてしまった。単語帳で英単語を覚えていたり、赤い透明な下敷きみたいなやつで記憶を確認しながらテキストを読んでいたりする子がたくさんいました。ほんの10分15分であっても、集積した勉強量は相当のものになったと思います。
 いまは圧倒的にスマホを見ています。何をなさっているのかはもちろん私にはわかりません。
 
 昔の優等生と比べて圧倒的に実質の作業量が少ない可能性はあります。それが個々人を脆弱にしている。そういう考え方もできるのではないでしょうか。
 スマホのない時代、あたりまえですがスマホには1分間も触れませんでした。するとその時間はまるまる他のことに使えていた。年間で何十何百時間になりますか? どれだけのことができただろうとも思います。
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この記事へのコメント

  • 1, さとかこさん 2015.07.19 01:39
    長野様
    性懲りもなくまたコメントしてしまいました。
    教育に従事する人間の端くれとして、恐縮ながら同じく憂う気持を感じます。

    偶然、岡潔博士のお言葉を目にしました。
    便利さは、情緒を奪ってしまうのかもしれません。

    3歳と0歳の子を持つ親でもあります。
    いつも気づきを、ありがとうございます。
  • 2, 長野先生さん 2015.07.19 07:59
    さとかこさま

     おはようございます。
     そうした便利さにお子さん方を選択的に触れさせないご家庭というのもあり、それなりの効果をあげられているように私は感じます。昔であれば、テレビは見せない、ゲームはさせないというところでしょうか。いずれにせよ、何らかの制限はかけたほうがよさそうですね。
  • 3, ゆりママですさん 2015.07.19 17:24
    今の中高生は”デジタルネイティブ”世代ですね。生まれもってデジタル世界で生きているので、こちらとは違う感性を持っていると思いますので、それが進化かどうかというより、功罪合わせて伝えていく方が好ましいのではと思います。
    ここは、狭い国土に54基の原発があり、災害が頻発する日本列島です。電源喪失やライフラインのないときにどうサバイバルで生き抜けるか、ICTやデジタル教育にまい進するより、そうしたリスクヘッジの教育が肝要だと私は思います。
  • 4, 長野先生さん 2015.07.19 21:43
    ゆりママですさま

     こんばんは。
     そうなのですよ。伊豆諸島沖の巨大地震があちらこちらの予知サイトで話題になっているので心配しているところでした。きちんと予知できれば理想的でしょうが、そのあたり不透明ですね。
     とりあえず自衛の気持ちで自宅に水は備蓄しています。教室にも用意してありますが、本当は精神的な要素がいちばん大切だと思っています。

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35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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