2014.05.25 10:54

 昔も読んだある書物で人生についての皮肉な定義がなされていました。
 現代は生きることが持っているものをすべて忘れ、持っていないものだけを追い求める苦行になってしまっているというのですね。今回改めて電車のなかで走り読みしていてはっとしました。
 あるがままをよしとしない。あるがままでないことだけをよしとする。いまの自分ではだめだと決めつけ、べつの自分を手に入れようと悪戦苦闘する。
 
 本当にその通りだとすれば、人生は非常に神経症的なものになってしまいます。持っていなくてやっと手に入れたものも持った瞬間に忘れてしまう。そして、つねに持っていないものばかりをほしがり続ける。どこまで行ってもきりのない欲求不満状態が続きます。
 目標を持つことが悪いというお話ではないですよ。目標は持つ。しかし同時にいま得ているものに対しても改めて心から喜ぶ。味わう。感謝する。
 たとえば10万円貯めようと目標をたてたとします。本当に10万円貯まったらたいしたものですよ。
 
 ところが10万円貯まった時点で次の目標額は20万円になっている。そういうものでしょう。するとどうなりますか? 貯まった喜びより目標に到達できないという焦燥感にさいなまれる。情熱を燃やし1度は目標を達成したのに、その喜びなんかすべて吹き飛んでしまう。いらいらしながら毎日毎日「なかなか貯まらない」残りの10万円のことばかり考える。これほど頑張っているのに、こんなに倹約しているのに、もっと楽に儲けている人間だってたくさんいるじゃないか・・・そしてやっとの思いで20万円貯まったときは、すでに次の30万、いや50万円という目標が重くのしかかってきます。その連続で生きる。
 
 目標にとりかかるまえにまずは感謝です。よくここまで頑張ったと自分と周囲の環境に感謝する。10万円も貯めたんだぞ! ですよ。すでに達成できたものをじっくり吟味する。それこそ人生の豊かさです。
 持っても持っても欲求不満(お金だけではありません。愛情だとか健康だとか)という人がいますが、まず現在の状態まで来られたことに対する正当な喜び、正当な誇りを大切にしてください。ちぇっ、ベスト10内に入れなかった・・・ではなく、すでにベスト20位以内に入れた自分に誇りを持ってください。
 
 自分の得るものを選ぶのが幸福の秘訣だともありました。深遠な言葉です。選ぶものを得るのでなく、得るものを選ぶ。得ないものは選ばない。それができないのであれば、せめて深刻にならない。感謝しながら進んでください。
 何点であろうと学校に通えている事実に喜びを抱いてから次の勉強をはじめる。この水準で生活できることにお礼を言ってから新たな目標にとりかかる。これぐらいのものは食べられるという現実に感謝してから今日の食事をはじめる。
 あるもので喜ぶ。ないものでいらいらしない。あれもこれも成し遂げていないではなく、あれもこれもーー生きる過程でーー達成してきているではないですか。
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この記事へのコメント

  • 1, 長野先生さん 2014.05.26 12:46
    コメントをいただいた方

     こんにちは。
     少しずつですが、私には変化が見えるように感じます(大崩れはしなくなりましたし、妙な解釈もなくなってきています)。ただ目標値まで上げていくためには、「理解の努力」だけではなくさらに「習得の努力」をしないといけないのは事実ですね。
     私もご本人に改めて伝えていこうと思っています。
  • 2, 長野先生さん 2014.05.26 17:52
    コメントをいただいた方

     こんにちは。
     「蟹工船」はじつは私も完全に(?)大人になってから2度ほど読み返しました。面白く感じるようになった作品のひとつです。大人になってから読み直してがっかりしたものもあり、こちらの変化でいろいろ変わってくるものだなと思いました。
     まあ、元気を出してください。全面的に応援していますから。

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