2012.05.27 11:44

 先日、あるご家庭から、自分が直接担当している生徒が本人に責任のない出来事で苦しんでいるというご相談を受けました。とりあえず「こういう感じで様子を見たらいかがですか」というお返事はしたのですが、非常に気になったので、その日のうちに本人に速達を出しました。
 私にその問題を解決するための妙案があるわけではありません。ただ「きみのことを心配している大人が、身内以外にもここにいるよ」ということを伝えたかったのです。

 そういうものですよ。情けの気持ちは絶対に伝わります。もちろん私はその生徒だけをとくにひいきにしているわけではありません。言葉を交わすのは「こんにちは」「さようなら」の挨拶と、授業中指名して答えてもらうときぐらいでしょうか。それでも相手が困っているときは電話やメールではなく、きちんと手紙を送る。それぐらいの労力は使って当然だと思います。先生だから、ではないですよ。昭和の人間はこういうことをするのです。

 仮にある国に住んでいる国民全員が、毎日必ず1通だけ心をかけているどなたかに手紙を書く習慣をつけたら、その国は大発展を遂げるのではないかと私はつねづね考えています。資源が経済が政治が・・・世の中、それだけではないでしょう。もっと大きな根源的な何かが人間を動かしている。心配している人間に何か書いて送るという感情のエネルギーが、国内全土を覆い尽くす効果はものすごいと思いますよ。

 会社でも教室でも同じですね。全従業員が一日に1通でも必ず心配なお客さま(塾だとやはり生徒ということに)に手紙を書き続けたら、その会社がうまくいかないわけがありません。マーケティングだとか何だとか難しい理屈がわからなくてもいますぐどなたにでもできることですし、時間だって短い手紙なら10分で十分でしょう。
 残念ながらメールではなかなか伝わらないですね。封筒を開けるときのどきどき感、便箋の枚数が多いことへの期待や不安、手書きの文字のかもし出す温かみ、見慣れない切手の面白さ・・・そういうものがまるでありませんから。

 私は教室で平均して一日に1通は手紙を書いています。今日も部活が忙しくて退会してしまう生徒がいたので、これから書くところです。時間ができたらまた戻ってきてくれるように書こうと思っています。電話で「頑張ってね」では残らない。文字にして気持ちを残すわけですよ。
 以前、ある保護者の方から「困ったときに手紙をくださったのは先生だけでした」とお礼を言われたことがありました。ここで大切なのはあくまでも「私」ではなく「手紙」です。「手書きの手紙」が、相手の気持ちをなごませたのですね。
Tags :
中学生
高校生
高校受験
ソーシャルブックマーク:

この記事へのコメント

印は入力必須項目です。
※ログインしていると自動的に名前が挿入されます。

名前
URL
Mail
コメント
画像

画像認証 :

※表示されている数字を半角で入力してください。

 

トラックバックURL

トラックバックURL
【トラックバックにつきまして 】
Z会ブログでは、トラックバックにスパム対策を講じております。
Z会ブログの記事へトラックバックを送信する際には、トラックバック元の記事の本文中に、トラックバック送信先の記事の「ページURL」を記載してください。「ページURL」が含まれていないトラックバックは受け付けできません。
なお、一部のブログやサービスからのトラックバックは受け付けできない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

プロフィール

プロフィール画像
長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

カレンダー

<<   2019年05月   >>
      01 02 03 04
05 06 07 08 09 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

新着記事

月別アーカイブ