2009.07.31 10:26

 二十年ぐらい昔でしょうか。小学五、六年生に小説の主人公の顔を連想させていたことがあります。「この問題文の主人公はどんな顔だろう?」彼らに次々と提案してもらって、私が下手な絵を黒板に描きます。
 「髪は長いな」「絶対一重瞼だろう」「そうそう、僕もそう思う」「ヒゲが生えてるかも」「えー、それはないよ。絶対剃ってるよー」・・・そんなやりとりをしつつ、絵は完成していきます。面白いもので、だいたいみんなが納得出来るような姿かたちが出来あがります。

 昔の子どもは楽しく遊びながら活字をうまく映像化出来ていました。ところが、こういう遊びがだんだん出来なくなってきました。いまでは中学生でさえ出来なくなってしまいました。彼らは「問題文のどこにも容姿は描写されていません。だから顔かたちまではわかりません」と答えます。想像もつかないと。
 これはちょっとこわいことです。問題文を読みながら(小説全体を読めば容姿の描写もあるでしょうが)、その主人公がどんな顔をしているのか想像もつかずにーーそれこそ太っているのか痩せているのかも思い浮かばないような状況でーー繊細な気持ちの変化を読み取る問いに正解を出さなければいけないわけですから。

 こうなったのは、周囲が映像化されすぎてしまったからでしょう。困ったことが出てくるとすぐに「映像で」助けてもらえる。映像まではいかなくても、マンガで解説してくれる。
 昔はそんなことはありませんでした。説明書というのは基本的にすべて活字でした。おおげさに騒がなくても、自然に日々活字→映像化という訓練がなされていました。

 文明が進んだせいで人間の一部の能力(筋力など)が退化してきたと言われますが、気づかぬところでそんな風にして頭の能力も退化しています。成績云々ということから離れても、活字を読むことはやはり大切な基礎訓練だと思います。読むものはなんでもいいのです。活字→映像化という回路を作ることが目的だと考えてください。
Tags :
幼児・小学生
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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